1【ビルピット(汚水溜め)シリーズ】 / 給排水処理技術

【ビルピット(汚水溜め)シリーズ】第6回(最終回) 水が留まる現場の最終手段!「曝気(ばっき)装置」と「釜場の改善」で悪臭を根本リセット

はじめに

前回の第5回記事では、汚水を溜めずにその場で汲み出す究極の対策「即時排水型ビルピット」について解説しました。
しかし、建物の構造や予算の関係上、すぐに即時排水型へ改修するのが難しく、どうしても排水槽内に一定時間の滞留が発生してしまう現場も少なくありません。

シリーズ最終回となる第6回は、水が留まる環境であっても腐敗させない「曝気(ばっき)装置の設置」と、底に泥を溜めない「釜場(かまば)の改善」、そして「ビルピット臭気対策の総まとめ」をお届けします。

即時排水型ビルピットとは

目的:汚水の硫化(腐敗)を防ぎ、底に汚泥が残らない構造にする
排水槽内の汚水が悪臭を放つ最大の原因は、酸素がなくなって「腐敗(硫化)」が進むことと、槽の底(釜場)に汚泥やスカムが沈殿して溜まり続けることです。
今回の対策の目的は、汚水に酸素を送り込んで腐敗を強制的に防ぎ、さらにピットの底に汚れが留まらない構造へと整えることです。

方法:空気(酸素)の供給と、排水ポンプ周りの滑らかな傾斜作り
具体的な方法は、以下の2つのアプローチを組み合わせることです。

1. 曝気(ばっき)装置の設置:
ブロワや散気管を用いて汚水中に空気を送り込み(エアレーション)、水中の酸素濃度を高めて腐敗による悪臭ガスの発生を抑えます。

2. 釜場の改善(インバート施工など):
ポンプが設置されている底面(釜場)に傾斜をつけたり、滑らかな形状に打ち直したりして、ポンプアップ時に泥やスカムが水と一緒にすっきりと排出されるように整えます。

この対策が特に効果的なケース

この「曝気装置と釜場の改善」は、構造上の制約が多い既存ビルで特に威力を発揮します。
 • 排水槽の容量が大きく、水位調整やタイマー運転を行っても完全には水が抜けきらない場合
 • 槽の底が平らで、ポンプで水を汲み上げた後も底に泥や固形物が残りやすい現場
 • 大規模な構造改修(槽の縮小や即時排水化)を行うことが費用、工事期間の面で難しい場合

水が留まることを前提としながらも、腐敗のメカニズムを断ち切る実用的なアプローチです。

※注意点とアドバイス
曝気装置を導入する際、「ただ空気を送れば良い」というわけではない点に注意が必要です。
もしすでに腐敗が進みきっている汚水に対して一気に強い空気を送り込むと、「溜まっていた悪臭ガスが一気に飛散し、一時的に強烈な臭いが建物内に充満する」というトラブルが起きることがあります。
また、曝気を行う時間帯や空気量の絶妙なコントロールが不可欠です。
タイマー制御との併用や、現場の汚水量に合わせた正しい機器選定をプロと相談の上で行いましょう。

総まとめ:ビルピット臭気対策・最適プランの選び方

全6回にわたりお届けしてきたビルピット臭気対策シリーズ。 最後に、貴社・貴ビルの状況に応じた対策のロードマップをまとめます。

【ステップ1:設定の見直し(低コスト・即実施)】

 • 残る水を減らす「Lレベル(停止水位)の変更」(第1回)
 • 溜める時間を短くする「Hレベル(始動水位)の変更」(第2回)
 • 夜間、休日の停滞を防ぐ「タイマー併用運転」(第3回)

【ステップ2:部分的な設備・構造の改修】
 • 大きすぎる槽を小さくする「槽の縮小(適正化)」(第4回)
 • 留まる水に酸素を送る「曝気装置・釜場の改善」(第6回)

【ステップ3:根本的な衛生化・設備刷新】
 • 汚水を溜めずにすぐ出す「即時排水型ビルピットへの換装」(第5回)


建物の構造、築年数、予算、そして臭いの発生状況によって、最適な最適解は異なります。 まずは現状の調査から始めてみてください。

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2026年10月 1日掲載